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美海がお墓参りをしている間、近藤は隊士数人を引き連れ、馬で伏見街道を歩いていた。
その姿はもはや大名だ。
早く屯所に帰りたい──。
「皆。あと少し頑張ってくれ!」
「「「はい!」」」
再び近藤は前を向き直した。
風が目に当たって涙が出る。
「風が冷たいなぁ…」
近藤は笠を抑えた。
だが、それを狙う者が民家に潜んでいた。
「いいか。しっかり心臓を狙うんだ」擔心植髮手術後遺症風險?其實植髮十分安全! -
「あぁ。伊東先生と同志の仇!!」
銃を構える。
近藤を狙っていたのは油小路から脱出した御陵衛士の残党であった。
銃口を近藤に向けた。
近藤、隊士は気付いていない。
「今だ!」
油小路の残党は引き金を引いた。
パァァァァァァァァンッ…
乾いた音が響いた。
弾は真っ直ぐに近藤に向かう。
近藤は何処からの音かと辺りを見渡した。
その間に既に近藤に弾は当たっていた。
チュンッ!
近藤は目を見開いた。
ドサッ
近藤は乗っていた馬から落ちた。
「き…局長ぉぉぉぉおおおお!」
「じゃあ。行ってくるから。頼んだぞ」
「わかりました!…気をつけてくださいね…」
「おう」
土方は手を上げると出ていった。
これが世に言う戊辰戦争の開幕戦。鳥羽・伏見の戦いになるのだろう。
今回のは今までとは違い、戦争だ。
事の始まりは数日前に上り、慶応3年12月9日。
美海達が知らなかっただけで『王政復古の大号令』というものが発令されていた。
この日、薩摩藩などが御所9門を固め、御所内学問所で満15歳の幼い明治天皇が発令した。
内容は
1.将軍職辞職を勅許
2.京都守護職、京都所司代の廃止
3.江戸幕府の廃止
4.摂政、関白の廃止
5.新たに総裁、議定、参与の三職を置く
というものだった。
明治天皇が発令したと記したが、実際は薩摩藩の大久保利通、公家の岩倉具視が明治天皇を手中にし、発令させたクーデターだ。
上級公家を排除し、徳川が新政府軍の主体とならない一部の公家と薩長による新政府を設立しようと考えているのだ。
会議でも幾人かが徳川の出席を許さないことを非難したが、それも敵わず。
勢いは増し、遂には徳川だけに領地返上を求めてきた。
12月13日に徳川は二条城を出て、大阪城へ退却している。
実は美海が今いるのは大阪城だ。
美海が何故大阪城にいるか。それも数日前に逆上る。
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あれから美海はお墓参りを終え、屯所に帰った。
ガラッ
バタバタ!
あら?
目の前を忙しく隊士が走る。
なんだか屯所が騒がしい。
デジャヴ?
タイムスリップしたあの日と似ている。
「医者はまだか!?」
「こんな日に限って。立花さんはいないのか!?」
「あ…あの~。私はここに…」
玄関でこっそり美海が手を挙げる。
「「「いた!!」」」
ビックゥッ!
沢山の視線が注がれる。
「早く!」
隊士に急かされる。
「一体誰がどうしたっていうんですか」
美海は早歩きをしながらも冷静に聞いた。
「胡蝶の姿を見たあの場所で、そなたを斬り捨てることも出来たはずなのに、上様はそれをしなかったのですよ?」
「それは……、目の前にあの姫君がおられた故、人を殺めるところを見せたくなかったのでございましょう」
「それが理由であれば、上様はそなたを地下牢に移した時点で、命を奪っていたはずじゃ。そうではありませぬか?」
蘭丸はいよいよ返答が出来なくなり、苦し気に押し黙った。
「本当にお厳しきお方ならば、人に、一日の有余など与えたりは致しませぬ」
「…御台様」
「上様は既に、あなたを許していたのです。負けず嫌いなお方ですから、お顔には出されませんが」
濃姫の言うことを、蘭丸はには信じられなかった。
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考えを巡らせる蘭丸の面差しに、微かな穏やかさがった。
「いずれにしても、上様の御意により助かったお命であることに変わりはありませぬ。
──ですから、蘭丸殿。どうか、胡蝶の許嫁として、あの子のことを守って下され」
濃姫はやや上半身を突き出すようにして、蘭丸に懇願した。
が、当然のように蘭丸は答えあぐねる。
「胡蝶のことがお嫌いですか?」
「…い、いえ…。 好きも嫌いもございませぬ。まだ一度しか、お顔をしたことがないのですから」
「ならば、好きになってくれる可能性はあるのですね?」
「それは……」
「“ それは ” ?」
「──」
蘭丸は目を白黒させながら、く考え込むと、どこか悩ましげな面持ちながらも
「…はい」
と、小さく頭を垂れた。
その前向きな返答に、濃姫は思わず笑みを漏らす。
「それを聞いて、致しました。やはり姫には、愛のある、幸せな日々を送ってもらいたいですから」
「…愛──」
「されど一応、胡蝶の気持ちも伺ってみなくてはのう。蘭丸殿を “ 美しい殿方 ” と褒めておったが、婚姻となると話は別です故」
濃姫がその心の内を素直に述べていると、蘭丸は不思議そうな顔をして、首をげた。
「そんなに、大切なことでしょうか?」
「え…」
「お互いの想いや、ましてや、婚姻に愛があるか否かなど、重要ではないように思いまする」
蘭丸は平然とそう言った。
何せ政略結婚が当たり前の時代である。
一介の臣下ですら、家同士、或いは主君の命令等で、否応なしに婚姻が決まる世の中だ。
ましてや信長のような貴人に仕えている蘭丸からすれば、結婚に至るまでの妙な色恋沙汰など、無用の産物のように思えた。
「……そうですね。確かに、そなたの申す通りじゃ。愛など無くとも、にはなれまする」
濃姫は相手の意を一旦受け取めると
「されど蘭丸殿。人というのは、出会いさえあれば、誰かに恋することや、愛することの出来る生き物なのです。
それは民、百姓であろうと、武家や公家のいご身分の方々であろうと、皆 等しく同じなのです」
蘭丸をひしと見据えながら、諭すように告げた。
「けれどあの子は──胡蝶は、誰かに恋をして、心をときめかせるという、人が一度は抱くであろう感情を、だに知りませぬ。
このまま、限られた人とばかり接し続けるだけの暮らしでは、胡蝶は間違いなく “ 恋 ” を知らぬまま生涯を終えることになるでしょう」
それは親として実に忍びないことだと、濃姫はい顔で呟いた。
「 上様が、蘭丸殿をあの子の許嫁にとご指名下されたのは、まさに運命としか言い様がありませぬ」
「──」
「蘭丸殿。どうか胡蝶に、恋というものを教えてあげて下され」
「……そんな。某には、左様なことはとても…」
「あなたになら出来まする。いいえ、上様に許嫁と認められた、あなたにしか出来ぬことなのです」
射抜くような濃姫の眼差に、思わず蘭丸は心を揺さぶられた。
だが、「はい」とも「いいえ」とも答えることが出来ず、蘭丸はひたすら頭を悩ませているのだった。
お菜津はそれを承ると、素早く踵を返し、濃姫の御座所へと大急ぎで駆けて行った。
「──…左様か。やはり殿は、勝三郎殿の弓をお取り上げにはなられなかったのじゃな?」
「はい。一度お手に取られた後“思うたより使い勝手が悪い故、もういらぬ”と申されて、早々に勝三郎殿へご返上なされたそうにございます」
御座所の前庭に設けられた広い縁台の上で、悠長にも生け花に興じる濃姫の横顔に、お菜津は平伏の姿勢で申し伝えた。
「それで、勝三郎殿に頼んでおいた件は如何であった?」
「それも、お方様がお考えになられた通りにございました。
ここ数日、殿は長年仕えて参られた側近方に対して、密かに献上品を迫っておいででした。
父母の御形見から家畜、土地財産に至るまで、その者らにとって特に大事とする物を」
「けれど殿は、そのいずれの品も受け取らず、そのまま本人たちに返上している……そうであろう?」
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濃姫は花の茎を切り落としながら、ふふっと微笑(わら)った。
姫の傍らに控えている三保野は、話について行けてないのか頻繁に首を捻っている。
「いったいどういう事でございましょう? 献上品を求めるだけ求めて、どれも受け取らぬとは……何故殿は左様な真似を?」
「分からぬのか三保野。殿が本当に求めていたのは、物ではない。心じゃ」
「心?」
「忠心、服従心、誠心…。私たちの忠義が揺るぎなきものか否か、お試しになられたという事よ。
誰もが一つは持っているであろう、最も大切な物を使こうてな」
三保野は思わずあっとなる。
「でしたら、姫様に急に短刀を差し出せと仰せになられたのも!?」
「きっとこの短刀を使えば、いざという時に私が、迷わず殿を選ぶか、はたまた美濃を選ぶのか、見定められると思うたのであろう」
だが、三保野にはまだ解せない事だらけである。
「されど姫様は、既に殿への忠誠を誓われた御身。お味方だと分かっている姫様に、どうして今更そのような真似を?」
「それが殿の恐ろしいところなのじゃ。例え味方であっても、ご油断召されず、事あらば徹底して疑ってかかる。
そうしなければ、裏切り、変心が常たる今の世を生き抜く事は到底不可能だと、殿はよう分かっておられるのです。
…それに、あのお方が目指されるのは天下。先々に待ち構える智将方との駆引きに備えて、今からご自分の目を養おうとしているのやも知れぬ」
淡々と、だが確信めいた口調で濃姫は告げた。
すると三保野は、呆れとも感心とも取れぬ、緩く長い嘆息を漏らした。
「それに致しても、各々が持つ大切な物を差し出すか否かで忠誠心を確かめるとは──。殿も随分と子供じみた真似をなされますな」
「子供じみた?」
三保野の呟きに、濃姫はほほっと上品な笑い声を響かせる。
「何が可笑しいのです!? 大切な物を渡すかどうかで忠義の度合いを確認するなど、童でも考え付きそうな事ではございませぬか」
「ではそなた、私が殿に短刀を差し出せと言われて悩んでいる時、殿が左様なお考えをなさっていた事に少しでも気付いたか?」
「それは……確かに気付きませんでしたが…」
「何故気付かなかったのか、その理由が分かるか?」
「何故と言われましても、考えが及ばなかったと申しましょうか、特に変わった事だとは思いませなんだ故」
「何故変わった事だと思わなかったのです?」
「それは無論、殿はあのようなご気性のお方です故、妙な事を言い出すのはいつもの事と──」
屋さんだよ」
大きな松の木が店先にあり、白い がかかってある。
伝書鳩係の男は車を停め、二人はがお勧めだよ」
「それでは、私もざるを待っている間、伝書鳩係の男が口を開いた。
「我々の発行している新聞の大阪版に、の『近代の恋愛観』という連載がはじまってね。それが非常に好評なんだよ」
「恋愛について述べた連載なんですか?」「あぁ。『恋愛は神秘的で、ひらめくものだ』と彼は語っている。そして『心と身体ともに結ばれ、それが個人と個人の間に生まれることは恋愛のほかにない。性的にも霊的にも、自我を満足させるのは恋愛のみ可能だ』と言っている」
「……私も惹かれてしまいそう。連載が人気というのも、うなずけます」
「単刀直入にここまで言い切られるとね、胸を打つよ。人気があるから、いずれ書籍になるんじゃないか」
「ぜひ読んでみたいです。心と身体ともに結ばれたいのは、男も女もそうに違いありませんし。恋愛のみが、そのような存在だと私も信じています」
ざるをすすった。
さらに伝書鳩係の男が続けた。擔心植髮手術後遺症風險?其實植髮十分安全! -
「お嬢さんは素敵な恋をしているようで、何よりじゃないか」
「ただ、仕事との両立は難しいです。運転する方のほとんどが、男性ですから」
「なるほどね。いつも別の男と逢い引きしているように見えるから、相手も気になるだろうね」
「おっしゃる通りです。実は先日、お客様から嫌な目にも遭いましたし」
「もしや、望まない誘惑か」
伝書鳩係の男の鋭い指摘に、ひゐろは黙ってうなずいた。
「……まぁ、そういうことはあるだろうな」伝書鳩係の男は、店内を見回してお品書きを見た。
「ここは、天ぷらもおいしいよ。食べてみるかい?」
「はい。ぜひとも!」
ひゐろは遠慮せず、天ぷらもお願いした。
「差し出がましいようだが、その男とは結婚する予定なのかい?」
「……いえ、それはまだ。相手は書生さんですし」
「書生か。それでは、『仕事を辞めてくれ』とは言えないだろうな。しかも夫でもない男では、それを言える立場でもないだろうし」
「その気持ちがわかるからこそ、悩んでいるのです」
「……なるほどね」
ひゐろも伝書鳩係の男も、も天ぷらもしっかりを平らげた。
「ごちそうさまでした。おなかいっぱいです」
ひゐろは、伝書鳩係の男にお辞儀をした。
「この先においしいの珈琲の店があるから、そこでお茶だけ飲んでいこう」
「よろしくお願いします」
伝書鳩係の男は再び車を運転し、の珈琲の店へ向かった。
伝書鳩係の男は、東側を指差した。
「あの辺りは明治の頃に、埋め立てられたんだよ。かつては舟路があったのさ」
「そうなのですね!私には、想像できないですが」
「東京も大きく変わっている。おそらくこれからも、変わるんだろう」店に着くと、早速二人は珈琲を頼んだ。
「の珈琲なんて、初めての体験です」
「多くの人は、そうだと思うよ。僕は新聞社勤めだから、食や東京市の情報が入りやすいだけで」
伝書鳩係の男は一口珈琲を飲むと、ひゐろにこう訊ねた。
「先ほどの話に戻るけれども、お嬢さんはこの仕事が好きなんだろう?」
「この仕事は、好きです。たくさんの方々との出逢いがありますし、さまざまなことが学べます」
「そうだろうね」
「ただ、必ずしもこの仕事でなくても良いのかもしれません。ただ、職業婦人ではいたいです。自分の力で、稼いでいたいのです」
「そうか。それなら単刀直入に、相手に伝えるべきだな」
「はい。今日の夕方に会うので、それを伝えてみるつもりです」
伝書鳩係の男の助言に、ひゐろの気持ちは少し晴れやかになった。
妻としての自覚が足りなくてすみませんと苦笑した。桂はとんでもないと首を振った。
「君がそんな風に考えてくれてるのが私は嬉しい。でもどんな君が隣りにいても私は恥だと思わない。そこは忘れないで。
それに,私が約束通りお昼に戻れていればこんな事にはならなかっただろう。申し訳ない……。」
ごめんねと抱き寄せて頭に頬をすり寄せた。
「お仕事ですからね。気にしてませんよ?」 擔心植髮手術後遺症風險?其實植髮十分安全! -
『元周公に,三津を紹介すると約束するまで帰さんと言われて戻れなかったのは言えないな……。』
そしてそのうち連れて馳せ参じると言って抜け出した。多分これから会う度にいつ会えるか聞かれるに違いない。三津はこの容姿を気にしていないがお偉いさんに会うとなれば流石に嫌がるだろう。
「本当に何から何まですまない……。」
どういう意図で言っているか分かっていない三津は,大丈夫と何度も唱えて桂の背中を上下に擦った。
「小五郎さん達が丁度いい所で現れてくれたので助かりました。ありがとうございました。」
『この話をして三津は信じてくれるかな?』
いい間合いで助けられたのには訳がある。単なる偶然でもない。
あの時,約束の時刻に帰れなくて手土産を買いに行った。前に買って喜んでもらえた物を頼んで包んでもらうのを待っていた時だった。
『三津さんの元へ急いで。』
耳元でそう囁かれた。伊藤のいたずらかと思ったが伊藤も驚いた顔で桂を見ていた。そしたら外から助けを求める声がした。
“奇兵隊のお女中さんらが襲われてる”
二人はすぐに店を飛び出した。奉行人を呼べ!高杉さんに知らせろ!と声が飛び交っていた。二人は全力で走って人だかりに突っ込んだ。
その中心にある光景を見て一瞬で怒りが爆発した。その怒りを全身でぶつけに行ったんだ。
「赤禰君が三津を見守ってる。稔麿に赤禰君に君には何体守護霊がいるんだろうね。常に三津と一緒だなんて羨ましい。」
「小五郎さんも死ぬまで一緒でしょ?」
何て可愛い妻なんだ。黄泉でも来世でも離しやしないよ。先鋒隊による事件から数日,セツの具合はすっかり良くなって変わらず家事に精を出していた。
三津も三津で初めは違和感だらけの髪型だったが洗うのが楽,すぐ乾くという利点を見つけて喜んでいた。
「嫁ちゃーんこれ嫁ちゃんにだってよ。」
「えー?またですか?」
セツと洗濯物を干していると山縣が風呂敷を突き出しながらやって来た。
あの一件以来,何故か三津に贈り物が届く。
贈り主はあの事件を見ていた町民達。
「髪に良いと聞いた物で。」
「お出かけの際にでも使って下さい。」
「少しでも気が安らぎますように。」
そう言って髪にいいと言う食べ物や,髪に付ける油。気兼ねなく出掛けられるように被るお手製の頭巾。落ち込んでるだろうから癒やされるようにとお香などをわざわざ屯所まで持って来てくれる。
「有り難いですけども……。」
生憎みんなが思う程落ち込んでないし寧ろ快適な頭だと思っている。だからこんなに貢がれて罪悪感でいっぱいだ。
「仕方ない,河原版でも大袈裟に扱われて悪人にも慈悲深い奥方様やって広まっちょる。」
山縣は風呂敷を三津に押し付けると俺は訓練の途中なんじゃと戻って行った。
「そのうち収まるわ。そうや木戸様が買ってくれたお菓子で一服しよ。」
「そうですね!」
男達が訓練でいない今のうちに美味しい物は食べてしまおう。セツはお茶を淹れに行き,三津は残りの洗濯物を手早く干した。
「失礼,其方が木戸の妻か?」
「はい?」
不意に声を掛けられて振り向くと町民らしき男が二人立っていた。
「うむ,この頭そうだな。禿やな。」
にっと笑って近付いて来た男は三津の頭を鷲掴みにした。